
2023年5月5日に公開された、宮沢賢治の生涯を父・政次郎の視点で描いた映画『銀河鉄道の父』。宮沢賢治を菅田将暉、父・政次郎を役所広司、妹トシを森七菜が演じて話題になりました。しかも、注目はそのロケーション!
花巻の街並みは空襲で焼かれて焼失しているので、時代の空気感を感じられる場所が存在することに驚いたのです。これは実際に現地に行きたい!
失われた花巻の風景を求めて岐阜県へ!

2025年10月19日、明智鉄道の岩村駅にやってきました。1両だけの編成ですが、ハイキングに行く人々で車内は賑わっています。

岩村駅から5分ほど歩いたところから一気に古い町並みに!ここは国の「重要伝統的建造物群保存地区」になっています。

NHK朝ドラ「半分、青い。」の「ふくろう商店街」ロケ地でもあったことから、五平餅のお店がいっぱい♪

岩村町 庚申堂まで来たら、ここから映画『銀河鉄道の父』のロケ地が始まります!
岩村城下町で映画『銀河鉄道の父』ロケ地になった場所
- 原稿用紙を買った文具店と東京の下宿先「京屋家具店」
- 一家の生活空間「勝川家」
- 『春と修羅』『注文の多い料理店』が山積み「東京の本屋さん」
- 店の外観と質屋(後年の宮澤商店)「木村邸」
- 花巻のまちなみ
- 国柱会館「昭和堂」
- お祭りにお題目を唱えて乱入した「遍照山 浄光寺」
- 祖父と妹の葬儀をした「平出工務店 空き地」
1.原稿用紙を買った文具店と東京の下宿先「京屋家具店」

「京屋家具店」は木工家具や素敵なカッティングボードなどを売っているお店です。2つのシーンのロケ地になっています。

1階部分は作中で原稿用紙を購入した文房具店でした。お店の方に許可をいただき、中から撮影。

東京の下宿シーンは、2階部分に柵を造り付けて撮影されたとのこと。そのままでも充分に成り立ちそうですが、さらに工夫が加えられて細部までこだわって撮影されていることがわかります。
2.一家の生活空間「勝川家」

江戸末期からの商家「勝川家」は、恵那市の指定文化財で一般公開されています。(入館料無料)

家の中での家族のシーンが撮影されました。各部屋に撮影時の様子のパネルが展示され、ボランティアの方が解説してくださいます。

場面転換で印象的な渡り廊下もこちらの建物です。
困った時には観光案内所「ふれあいの館」

観光案内所「ふれあいの館」では、ロケ地の案内をしています。心強いボランティアスタッフさんが居るので、わからなくなったら質問することができます。なんと、お向かいと隣の建物が東京の本屋さんのシーンで使われたことを教えていただきました。
3.本屋さん「ぬのめ屋」「萬勝」

お向かいのお宿「ぬのめ屋」は、東京神田の本屋さんのシーンで背景側の書店に。

「萬勝」は、書籍『春と修羅』『注文の多い料理店』が山積みで店内の撮影側になった建物です。
4.店の外観と質屋(後年の宮澤商会)「木村邸」

宮澤家の外観になっていた「木村邸」。こちらも勝川家と同じく恵那市の指定文化財で一般公開されています。(入館料無料)

質屋のシーンで使用されたお店側。

そして土間側。

ラストシーンで父が本を読んでいた縁側。こちらは、この家の「殿様の通用口」という特別な位置にあるので、ぜひ現地にてボランティアガイドさんの説明で体感して楽しんでください。お庭に引き込まれている、水路の水の綺麗さも感動します。
5.花巻のまちなみ

「木村邸」を過ぎたところで来た道を振り返ると、映画の中の「花巻のまちなみ」の景色です。
白黒写真でしか見ることができない、空襲で焼失した花巻の賢治の生家周辺の景色を思い浮かべます。

ランチも町の中で。ボランティアガイドさんに地元の恵那鶏を使った「鳥料理が美味しい」と教えていただいた、お店「鳥兵 (とりひょう)」です。空気も水も綺麗な町を歩いてきて、そこで育った鶏をいただく”地続き”な体験。
6.国柱会館「昭和堂」

国柱会館の建物は、観光案内所で伺ったところ元文具屋だったとのこと。
7.お祭りにお題目を唱えて乱入した「遍照山 浄光寺」

お祭りに乱入するシーンがどこで撮影されたかわからず戸惑っていたら、エキストラで参加された方が法要にいらっしゃり、直接解説いただきました。なんという巡り合わせ!

春日流八幡鹿踊(かすがりゅうはちまんししおどり)に、菅田将暉演じる宮沢賢治が、太鼓を持って「なむ」で切れる唱え方が印象的な「南無妙法蓮華経」を唱えて乱入するシーンの撮影場所。

父親に押さえつけられながら曲がったところ。
8.祖父と妹の葬儀をした「平出工務店 空き地」

葬儀のシーンで使われた空き地は、岩村駅を挟んで反対側に1kmほど行った森に囲まれた場所です。立ち入り禁止で道路から見るだけ。セットも何もないのですが「あぁ、この場所で葬儀してたなぁ」と、既視感がありました。
郵便を受け取った東京の下宿は明智町

東京の下宿先で、郵便を受け取るシーンが撮影された「さつき旅館」は、同じ明智鉄道の4駅先「明智駅」が最寄りになります。

なんと、建てられたのは1923(大正12)年!100年経っています。

この階段から、「郵便でーす」で賢治さんが降りてきました。

今夜はその宮沢賢治を演じる際に、菅田将暉さんの控室だったお部屋に泊まります。
天気に恵まれず、雨が降ったり止んだりの中でのロケ地巡りでしたが、建物で休憩しながら回ったので楽しむ事ができました。
車が通らないと「シーン」という音が聞こえそうなほど静かです。ロケ地の関係者の方やボランティアガイドさんは、みなさん親切で温かく迎えてくださいました。ゆったりと現地の方とコミュニケーションをとりながら散策したい町です。
病院のシーンは名古屋

賢治や父が入院した病院は、隣県の愛知県名古屋市で撮影されました。
1928(昭和3)年、城山八幡宮境内に建設された『昭和塾堂』が病院のシーンのロケ地です。現在は非公開で、金網越しに外観のみを見ることができます。
岩手県のロケ地
下根子桜の家:後の羅須地人協会(らすちじんきょうかい)や北上川ほとりの下の畑は岩手で撮影されました。
岩手県のロケ地については、以前の記事をご覧ください。
下根子桜の家のシーンについて、外観は花巻で、内部はセットを岐阜県内の体育館の中に建てて撮影されました。
ナギノートが追いかけているSL銀河も出演。映画のラストシーンを彩りました。
また、東京から花巻に帰郷する時に、SL銀河の機関車「C58239」が「J58239」の名前で出演しています。(しっかり汽笛でセリフも!)




