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かき氷が美味!神奈川近代文学館にて

宮沢賢治とその他の地域

2024年7月27日、今日は神奈川文学館に行きます。みなとみらい線 元町・中華街駅を出てびっくり!素敵な庭園が広がっています。「アメリカ山公園」出口はエスカレーターを全部上がると公園直結なんですね♪

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港の見える丘公園

「アメリカ山公園」を出て「港の見える丘公園」に進みます。この辺りは横浜開港時に外国人居留地だったエリアで、異国情緒のある景色が続きます。12分ほどアップダウンのある道を歩くのですが、庭園鑑賞で眼福…けど、暑くてハァハァ。コンビニも自販機も見当たりません。

「港の見える丘公園」の中は、特徴的な洋館とイングリッシュガーデン。宮沢賢治さんの好きそうな雰囲気です。YOKOHAMAにも賢治さんは来てるのですが、具体的にはどこだったのでしょうか。

霧笛橋を渡ると「神奈川近代文学館」です。

海の景色は工業地帯の流通センター風で、ちょっと手前がロマンチックではないですねぇ。奥が本牧方面です。

神奈川近代文学館

神奈川近代文学館は、神奈川ゆかりの作家の直筆原稿やゆかりの品を紹介する施設です。こちらは有料のミュージアム。

鮨喫茶すすす

抹茶×あずき団子 1300円

神奈川近代文学館の入り口でびっくり!建物内に、まさかのお鮨屋さん。しかも、かき氷が美味しそう♪愛知県西尾の抹茶を使った本格的な味が、なんだかとっても高貴な文学の香りです。

鮨屋のガリ氷 1200円

鮨屋が仕込む自家製ガリのかき氷。う…うまいのか!?と半信半疑。けど、ジンジャーエールとか好きだし…と、オーダー。生姜の爽やかな辛さときび砂糖の甘味がいい!身体に沁みます。

10時からは作家や作品に由来する鮨メニューも提供しているようです。

いやはや、思わぬところで美味しいかき氷に出会いました。これは真夏のご褒美ですね♪

それでは目的の…

さて、ここからが本題です。霧笛橋の下にあるのが「閲覧室」、資料館です。詩人・佐藤惣之助(さとうそうのすけ)が宮沢賢治を評した文章が掲載されている、冊子『日本詩人』と『詩之家』があるとのことで、閲覧しに来ました。

『【新】校本宮澤賢治全集』に1926(T15)年に宮沢賢治が川崎を訪れた可能性が示唆されています。その目的は、川崎在住の詩人佐藤惣之助を訪問することです。

当時、既に詩人として活躍し、自宅を開放して後進を育成していた佐藤惣之助、
それに対して、詩集『春と修羅』童話集『注文の多い料理店』を自費出版したものの、生計を立てるほどの反響を得られなかった30歳の宮沢賢治。

しかし、佐藤惣之助は『春と修羅』を読み、宮沢賢治を褒めていました。

目的の資料1『日本詩人』

それに「春と修羅」。この詩集はいちばん僕を驚かした。何故なら彼は詩壇に流布されてゐる一個の語葉も所有してゐない。否、かつて文學書に現はれた一聯の語藻をも持つてはゐない。彼は氣象學、鑛物學、植物學、地質學で詩を書いた。奇犀、冷徹、その類を見ない。以上の二詩集をもつて、僕は十三年の最大收穫とする。そして僕の貧しい書架を覆して、今日は獨り詩集祭を修した。

よし、日もたけた。氣も倦むだ。より己れに鞭打つて、裏の枯野を歩くとしやう。(十一月六日)

佐藤惣之助が大正13年度の詩集の書評を書いた文章で、その最後に宮沢賢治の名前と『春と修羅』を挙げて褒めています。言葉と表現が他に似たものがないことに驚き、この年の「最大収穫」と書いています。

目的の資料2『詩之家』

「銅鑼」はよき詩人をもつ

草野心本の主宰する「銅鑼」はよき詩人をもつ。最近坂本潦君を出したが、まだ宮澤賢治君をもつ。同君の氷のコロナの詩を久しぶりで讀むだが異色あるものだ。宮澤賢治を讃するに吝ならざれ。

昭和3年3月「決算、独断その他」という文章の中で「よき詩人」として宮沢賢治の名前を挙げています。そして「氷のコロナ」の詩を、異色だと称賛しています。

佐藤惣之助、宮沢賢治のことをものすごく褒めているではありませんか!今まで引用されているのを見慣れた文章ですが、こうして改めて全文で読むと、限られた文字数の中でどのくらいを賢治称賛に費やしているかが分かります。

川崎市民としては、来ていて欲しいところですが…。

もし、宮沢賢治が川崎に来て、佐藤惣之助と出会っていたなら、何も起きていないわけが無いのだろうなと。惣之助は力を貸しただろうし、賢治も生きてる間に無名の詩人では終わらなかったと思うのです。

惣之助の称賛の文章、大田区までは足跡がある賢治…あともう一歩の川崎まで来ていたら、何かが変わっていたのではないでしょうか。