恵比寿のフランス大使館で資料を拝見し「フランス大使館に桜が無いΣ( ̄ロ ̄lll)ガーン(松ばっかり)」というのを見たナギノです。
そこで、改めて調べていたところ、浜垣様のサイト宮沢賢治の詩の世界 大使館の桜で「大使館の桜は、フランス大使館ではなくイギリス大使館の可能性が高いのでは?」という記事を拝見しました。
前回の恵比寿で拝見した資料:Residences 日本における歴代の「大使公邸」:約150年の歴史で、あまりにも印象的な、フランス大使館が仮住まいの建物で、フランスの威信を示すのに物足りない……というのも、今も昔もフランスのライバルであるイギリス大使館との面積の差にも顕著に出ているなぁ……と、感動した地図です。
そこで、私は思いました。「よし、元フランス大使館跡に何かないか行ってみよう!桜の切り株とか、短歌作っちゃうくらい感動する桜の木なら、1本くらい残ってるかもしれない。ついでに、有力候補のイギリス大使館にも行ってみよう!なんだったら、桜の咲いてる時期に行けば、どれが桜の木か、一目瞭然だぞ!!」
今回の目的
- 当時フランス大使館だった跡地に何かないか現地を見てみる(桜を期待)
- 今も昔も同じ場所のイギリス大使館に行ってみる
賢治さんを踏襲して北宸館からスタートします
賢治歩きのバイブル奥田弘著『宮澤賢治の東京における足跡』によると、北宸館はこちらなのですが、発表から月日が経っているためか、予想より威勢の良いビルになっておりました。賢治さんゆかりの東京の地は、その後だいたい地価が上がったことを思わせる変化が起きています。
当然「なにしてるんですか?」と声を掛けられるのですが、宮沢賢治の研究をしていて、賢治さんがここに来てたんですよ……と、お話しすると、もうちょっと詳しく聞かせて欲しいとのことで、しばしご歓談しました。
「ここに宿泊して、大使館の桜を眺めたりしながら、神保町に通学していたらしいんですよねー」と話すと、「イギリス大使館の桜なら、この道行ってすぐそこ。で、皇居突っ切って行くといいよ」と、道まで教えていただきました。
ありがとうございます。やっぱり、桜見物&神保町ルートはイギリス大使館なんですねぇ……まぁ、今のフランス大使館は恵比寿ですしね。
先入観たっぷりに教えていただいた道を進み、曲がると……
をっと!圧倒的に文句のつけようが無い桜並木の名所っぽい場所に出ました。しかも、みるからにクラシックで素敵な建物もあります。
建物の中にも桜ありますね。
歩いても歩いても桜並木。レンガじゃないけど塀も低いです。
説明せずとも写真で伝わりますでしょうか?圧巻の桜並木&建物……イギリス大使館です。これはもう……大使館の桜ってイギリス大使館で決まりなのではないでしょうか?(印象判断)
それにしても立派な……と、思ったところで、目の前になにやら石碑を発見。
いわくありげな……
98年に英国祭というのがあったようで、その時の植樹の記念碑のようです。それにしても、最初に桜を植えた英国公使の名前が「サトウ」。ハーフだったのでしょうか……当時のイギリスの権威や日本との関係を思うと、日本にとっては恩恵の大きい人事だったことが感じられるのですが、実際はどうだったのか気になるところです。
綺麗な色ですねぇ。
ここで、あぁそうなんだ!と気づきました。お向かいが千鳥ヶ淵です!
こっちものどかです。春の小川……もとい、お堀。
千鳥ヶ淵も桜が素晴らしいです。千鳥ヶ淵と英国大使館、桜桜桜です。
桜褒めたいんですが、画面的には菜の花が良い味出してます。こんなに一面美しく咲き揃うのを初めて見ました。
店とか無いので、黙々と歩く感じです。しかも、先ほどまでの雅な景色と雰囲気が違って、車の多さが気になります。……でもまぁ、神田方面へのショートカットなんで………。
赤いレンガの建造物発見。
けっこう歩いたのですが、最寄り駅の竹橋駅までは、ここ乾門が真ん中あたりです。駅まではこの倍の道のりが……。ちょっとぐったりしたところで、見たことがある建物が出現。
よし!よりみちしていこう!!
と、喜び勇んで入館しましたが、現在は展示入れ替え作業中で、開館しているのはエントランスとトイレと売店のみでした。
エントランスには日本国憲法の解説。
売店には人気商品「平成」のファイル。我々昭和生まれにとって、小渕さんが持っていた「平成」は印象深い出来事でした。新年早々、学校も休みで、世間の雰囲気が変だから友だちと遊ぶ感じでもなくてテレビばかり見てたしなぁ……。いくつかの資料とともに、土産として平成のファイルも購入しました。喜ばれそう。次の元号もファイル化されるかな?
左に曲がってぼちぼちで、旧フランス大使館跡地なのですが……。
日産自動車販売。
合同庁舎、東京法務局、千代田区役所。お役所が立ち並んでいて、桜並木などというものは全く見当たらないのですが……役所というのは敷地の隅っこに何かあったりするんだよなぁ……と。道路をあっちがわに渡りたいです。
目の前は遠方に桜並木がある。こっちは無い。有無のコントラストが明白でなによりです。
さて、渡りました。
あ、やっぱり何かありました。
あぁっ!何かどころか、これ、答えじゃないですか!!
旧フランス大使館は大隈重信雉子橋邸
フランス大使館は、桜、無し。
大隈重信の邸宅だったのなら、一番詳しいのは早稲田大学でしょう。
サイト早稲田大学・雉子橋邸を知っていますか《最終回》には、資料:Residences 日本における歴代の「大使公邸」:約150年の歴史でやりとりされていた再利用された建物の正体が紹介されていました。
それは、大隈重信が住んでいた雉子橋邸という建物で、渋沢栄一に譲渡された後に、フランス公使館になったのです。
1887年2月10日、渋沢栄一が自身で地所・建物・家具こみで5万5500円で買い上げました。その5年前・1882年に大隈が早稲田の土地を50円36銭4厘で購入しています。桁違いの金額です。
賢治さんも部外者なので、外観からの印象判断だと思います。残っている写真を見ると、フランス大使館となるこの建物は、外観で部外者が見ることができる桜はありません。
結論:私も、賢治の短歌の大使館は、イギリス大使館であると思います。
自分の意見として腑に落ちるまでの間、沢山の方に教えていただきました。ご教示くださった方々に心より感謝申し上げます。
追記:それから1週間後
横浜に花見に行ってきました。そういえば、大隈邸に来る前のフランス公使館は横浜だったなぁと思い、跡地に何かないか見てきました。
レンガの土台と立派な建物の解説がありました。権力中枢の立地に引っ越しても、建物がスケールダウンしているのが明らかです。これが、威厳が無いという嘆きに繋がっているのですね。
追記:あれから1年
2020年、修正と追記をしながら、この寄り道によって私の生活に影響したことを発見しました。
記事を書きながら飲んでるドリンクが、あれなのです。
ピンクのレモネードは、ピンク色が可愛いだけではなく呼気がバラのフレーバーという素晴らしい物体です。味はレモネード。後ろはクラフトコーラ。イギリスから輸入してたドリンクでしたか(笑)いつの間にか生活に定着していました。
外部リンク
よりみちノート東京版はこちら
改訂版 東京よりみちノート ([バラエティ])
今回のノートは、ひとり東京さんぽ withよりみちノート (よりみちムック)に付録としてついていた、ちょっとだけ範囲の違うマップの東京よりみちノートです。