
建築家・内藤廣(ないとう ひろし)氏は、多くの公共施設を手掛けており、言われてみるといくつかはすぐに思い起こすことができるのではないでしょうか?みなとみらい線馬車道駅、東京メトロ銀座線渋谷駅も内藤氏の作品です。現在、40年分の手帳を公開している「紀尾井清堂」に行く前に、一つ、”作品”に寄ってみたいと思います。
ここも作品!「とらや 赤坂店」

老舗和菓子店「とらや」のとてもモダンな造り、茶寮である3階までの空間がとても素敵に演出されている店舗です。

待ち時間が30分程度なこともしばしばですが、建物や地下の展示や2階の売店を見て一息着くと、案外30分経過しています。




期間限定メニューのかき氷、9月いっぱいで終了です。小倉餡がびっくりする量が入っていて、大満足!
御菓印(ごかいん)

売店で気になったこちら。御朱印帳?と思ったら、老舗の菓子店が配布している「御菓印」というもの。

会計時に希望の旨を店員さんに伝えると、無料でいただけます。御菓印配布店舗の一覧は、記事の最後にリンクで掲載しますね。全国で配布されています。
同じく赤坂見附駅最寄り「紀尾井清堂」

赤坂見附駅から徒歩7分、人だかりができていてすぐに目的地がわかりました。コンクリートの打ちっぱなしにガラスのベール、中から木とお客さんが見える…情報量の多い建物です。

紀尾井清堂は、通常非公開、展示期間のみ公開の建物です。

1階ピロティ部分。石とタイルの空間で、4本の柱がコンクリートの建物全体を持ち上げる造りになっているのを体感できます。…変わった建物だなぁ…

2階に上がると、5階まで一気に吹き抜けの空間!なんじゃこりゃ!?と驚く空間です。建物の用途が見えない不思議さに戸惑いますが、それもそのはず、「用途度外視で内藤先生が出現させたい建築物」を建てたとのこと。東京のど真ん中に機能の決まっていない建物…依頼した建主も、依頼される建築家もすごすぎます。間違いなく1番の代表作ということでしょう。平日火曜なのに、人人人です。

5階のトップライトが照らしているのは、内藤廣氏の手帳から抜粋された言葉のオブジェ。この後、階段で上がりながら言葉の出どころの手帳を見ることができます。

手帳は回廊の手すり沿いに年代順に展示されています。レプリカを手に取ってめくることができ、内藤氏の思考の一端を見ることができます。手帳の撮影は禁止されているので目と心で覚えます。


スケッチするということの意義。 そして多くの想いが書かれた手帳からは、特に東日本大震災のことと東京五輪のことが気になりました。

「高田松原津波復興祈念公園 国営 追悼・祈念施設」に至る想いが手帳に書かれていました。震災と向き合う覚悟と姿勢を感じた後に見る設計図。感じる重みが変わった気がします。

大きな仕事をなした人の手帳からは、何が感じられるのか?私は、ひたすらに目の前のことを目を凝らして向き合う姿と、これほどまでに費やしたのに報われない事があるという事実…結果としての建物からは偉大さと畏怖を。手帳からは一人の人間の積み重ねと試行錯誤を感じました。
なんだか手帳に励まされた気がして「私もまだやれる事があるはず!」と、赤坂の街を踏み出すことができました。
紀尾井清堂の建築家・内藤廣氏の約40年分の手帳を年代別に公開している「建築家・内藤廣~なんでも手帳と思考のスケッチ in 紀尾井清堂」は9月30日(火)まで。開館日が 火・木・土曜日 と、変則なのでご注意ください。また、9月23日は閉館です。開館時間は10:00~16:00、観覧料は無料で事前予約の必要はありません。詳細はリンクから確認してお出かけください。