今回は、まとめ記事です。
約1年前、「銀河鉄道じゃないほうのSLの話1~10」の記事を書きました。当時はブログのフォーマットも異なり、短く記事をわけたのですが、次のことを調べるために、資料として記事をまとめることにしました。
1931年に宮沢賢治が上京する際に乗ったSLの型
くわしい経緯については、元記事「銀河鉄道じゃないほうのSLの話1~10」をご参照ください。
単機で花巻‐上野間を走り切らないため、特定の1車両には絞れません
SLは石炭と水を補給しながら走るものであり、走行のために作業する機関士には大きな負担がかかります。激しい振動、夏期は高温・冬期は厳寒にさらされながら、煤煙と灼熱に包まれた狭い運転室内での乗務。動力が外から供給される電車とは違い、現在のような長距離を走ることはあり得ませんでした。
「機関区」という区切りで、車体と人員が交代します
とはいえ、当時も近距離・長距離の区別があり、長距離の時には乗り換えの機関区の数が減ります。「盛岡・一関・小牛田・仙台・平・水戸」以上6つの機関区で車両が交替し、かつ、賢治さん自身も途中下車しているので、追跡は困難。「機関区が保有している車両のどれか」という結論にいたりました。しかし、ある程度絞ることができます。
長距離走行可能なSLは絞られる
東北エリアは、SLの構造や性能の違いで用途が分けられていたため、旅客として長距離を走る車両は2種類まで絞ることができました。それが「86型」「C51型」です。
乗車した可能性があるSL一覧
86形(通称ハチロク)
- 18636
- 18643
- 18637
- 18645
- 18677
- 18698
- 18699
- 28624
- 28645
- 28646
- 28668
- 68622
- 78640
- 78644
- 18674
- 28667
- 38687
- 38688
- 38689
- 38690
- 38691
- 68620
- 8646
- 8652
- 8653
- 8654
- 38684
C51形(シゴイチ)
- C5152
- C51119
- C51120
- C51121
- C51153
- C51154
- C51155
- C51192
- C5179
- C5181
- C5182
- C5183
- C5184
- C5185
- C5186
- C51117
- C51118
- C51193
- C51230
- C51231
- C51232
- C51233
- C51234
- C51283
- C51284
- C5128
- C5112
- C5140
- C51144
- C51145
- C51165
- C51166
- C51167
- C51168
- C51169
- C51183
- C51210
- C51211
- C5111
- C5137
- C5138
- C51146
- C51147
- C51148
- C51149
- C51180
73両。しかも、組み合わせのパターンを考えると途方もない候補数です。
令和の現在、全滅
今日現在、上記の車両はすべて廃車になり、残っていません。同形の別車両についても驚く結果になりました。
86形とC51形の現在
86形は2両のみ
- 8630……京都鉄道博物館に保存
- 58654……肥薩線で運行中「SL人吉」
C51型は4両
- C515……大宮鉄道博物館で公開
- C5144……秋田総合車両センター(カットモデル)
- C5185……鹿児島総合車両所(カットモデル)
- C51239……京都鉄道博物館に保存
SLは常にメンテナンスをし、部品はオーダーメイド、整備も走らせるもの専門の技術者が必要……と、億単位で維持費がかかるそうで、所有し維持し続けること自体がものすごーーーーく負担になるそうです。
結論
意外なことに、先行型である86型は動態保存なので、同型に乗車することが可能です。C51型は走れるものはありませんが、大宮・京都でシンボリックな存在感を放っていました。
……が、
好きなら応援しないと絶滅しちゃうよ……
さて、車両についてが解決しました。この調査を開始した時、賢治さんの上京ルートである「常磐回り」は3・11東日本大震災で失われ、2011年3月11日から9年間、一部バスによる代替輸送対応でした。2020年3月14日、遂に全線開通。その時を私もその再開を現地で迎えたいと画策していましたが、既に始まっていたコロナ禍により断念しました。思い出の中では、桜が美しい路線でしたから、4月にも思いましたが、状況は厳しさを増す一方でした。状況を鑑みながら計画を立てる。これが現在の状況です。