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SL銀河、ファイナルツアーを追ってみた<後編>

SL銀河

SL銀河、ファイナルツアーを追ってみた<前編>のつづき

2023年6月11日、ファイナルツアーの復路、ファイナルのファイナルです。

SpecialThanks!:Photo by 出口聖也

公園に保存されていた動かない蒸気機関車が、今は走ってみんなの中心にいる奇跡。それを目撃できることが約束されている最終日です。

SpecialThanks!:Photo by 出口聖也 ツアー参加者は午前10時からイベントが始まっています

今日は、沿線で見送りイベントもあって、移動が困難になることが予想されることから、昨日までのようにポイントを追うことが難しくなっています。

全体の8割を見届けられるのは切符をもった乗客だけです。そして、実は乗客だと見られない景色が2割(ナギノ所感)あるのです…その2割のうちの一部を「ナギノートの『SL銀河の夜』」としてお楽しみいただければと思います。それぞれの視点でそれぞれの物語がありますので、ほかの物語は他の方のログをご覧くださいね。

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釜石駅 ~La Oceano(ラ オツェアーノ)~

涙雨の釜石です。昨日は不意打ちのWベッドで十数年来の親友と初めて同じベッドで寝まして…語り合ってこんな時間に(笑)

中に入ると出発時刻が表示されています。

釜石駅構内の装飾、駅名標と見送りのゆるキャラたちが、見事に対応しているではありませんか!細部に神が宿った仕事です♪

釜石駅前、シープラザ釜石で開催中の写真作品展「SL銀河ありがとう!」を拝見。切り取られた一瞬に、自分の知らないSL銀河の姿を見ました。まだまだ見ていないSL銀河の表情があります。もっと見ていたかった…

もうすぐ出発の時刻です。SL銀河のテーマである宮沢賢治童話『銀河鉄道の夜』は、死のエピソードを見つめながら、やがて来るかけがえのない人との別れの物語です。

今日はそれぞれ別れを、どうぞ大切に大切にお過ごしください。良い一日を!

小佐野 ~Verda Vento(ヴェルダ ヴェント)~

釜石駅発車まもなくの追悼の汽笛。SL銀河の最終日と東日本大震災の月命日が重なるなんて、これが偶然なんてことあるかしら。

きっと、最後は生まれた意味である「復興の汽笛」を海の町に響かせたくて、この時間のスタートなんだと思います。

不意に叶ってしまった車内とのお手振りでした(笑)これ、狙ってできることではなくて、偶然です。今まで何度もやってみようとしてできなかったことが最後に実現しました。

洞泉 ~Cervoj(ツェルヴォイ)~

高速を使わずに仙人峠を走る…濡れた路面で難易度が上がっているのは重々承知でしたが、相棒のカナちゃんと思い出たっぷりの道なので、峠を楽しむことにしました。

岩手上郷 ~Cervodanco(ツェルヴォダンツォ)~

宮守 ~Galaksia Kajo(ガラクシーア カーヨ)~

道の駅「みやもり」に着きました。『宮守めがね橋』やはりここが一番の思い出の地です。ナギノートでもお馴染みすぎる場所ですね(笑)すでに沢山の人が来ています。まだ3時間あるのでゴハン食べようかな…

わーお!見事に×だらけ!赤いランプは売り切れです!

「わさびラーメン」を食べます!こんな機会でも無ければ、一途に蕎麦派なので初めて食べます。これはこれで美味しいです。チャーシューとわさびが合ってますね♪

内装壁画の『銀河鉄道の夜』クライマックスシーンを見ながら、もうすぐ現実でもお別れが近づいていることを感じます…

徐々に暗くなってきて、SL銀河を迎える準備が整います。泣きそう…もう終わっちゃう…

SpecialThanks!:Photo by 出口聖也

宮守めがね橋、SL銀河に乗っている人からの景色です。

SpecialThanks!:Photo by 出口聖也

沢山の命のお星さまに感動して涙…

花巻駅 ~Cielarko(チェールアルコ)~

花巻駅に先回りしました。そう…この駅舎も建て替えちゃうんだよね?こんなに綺麗なのに。

あれ?…あれあれ?釜石駅の駅長さん!?私がよほど驚いていたのか、いらずらっこみたいに笑いかけられてしまいました。

釜石駅からも、直送でお迎えです!さ、SL銀河のゴールをお迎えしましょう!!

ありがとう、本当にありがとう。SL銀河の旅が終わりました。

ナギノ隊は追いかけます!今回も花巻駅でメンバーを増やして(笑)

盛岡検修庫

2023年6月12日 0:28am ありがとう。おやすみなさい。

SL銀河を見送って(ナギノの所感)

夢みたいに美しい列車をただただ夢中で追いかけた10日間でした。ナギノ隊の車内もまた、SL銀河のボックス席のようにかわるがわる誰かを乗せ、ひとときを共有し、別れました。「SL銀河別室」でした。

SL銀河は、車内外この上ないほど美しい装飾の列車で、それを引っ張っている機関車も百年の逸話の持ち主です。しかし、それを取り巻く人たちの想いがあるからこそ、単なる乗り物ではない存在でした。地上の灯の一つ一つが「SL銀河を待つ人」でした、SL銀河の中の人たちも「灯を待ち望む人」でした。

SL銀河に思いを寄せることで、同じ思いの人との繋がりの愛しさや、人生のかけがえのなさを感じます。「絆」って押し付けられるものでは無くて、自分の心の柔らかい部分にスッっと入ってきてこそ。それがありました。

SL銀河は、「命」には限りがあることを伝えてきました。いつだって『銀河鉄道の夜』の物語を通して伝えていたのに、最後には自らをもって。喪失感を受け止めてきた列車が、夜闇に去りました。

今日から「もう走っていない」岩手になって、沿線の賑わいも、再会の喜びも遠いものになってしまったことが悲しいです。岩手は、距離は遠いけど、人の心がとても近い場所でした。

私は、閑散として廃れる一方の故郷に、こんなにも沢山の人が来て、出会って、SL銀河という共通の言葉で一瞬で仲良くなってしまう…そんな時間が過ごせることが大好きでした。

「SL銀河」ファイナルツアー宮守めがね橋ノーカット版

「ナギノート」は、行き詰ったクリエーターを刺激する「宮沢賢治が見た景色」を探しに行くサイトです。賢治さんが居たところ、行きたかったところ、好きそうなところを巡ってきました。

SL銀河のファイナルは宮沢賢治の見た世界と賢治さんが創った世界を融合させて、関わる人々によって、その上を行く時間が創造されていました。「いちばんいいもの」と出会った幸運に胸が震えています。