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SL銀河の車体に描かれた「銀河鉄道の夜」の物語

宮沢賢治と岩手

SL銀河の旅客車には「銀河鉄道の夜」の場面が描かれています。

「銀河鉄道の夜」は未完成の作品で、重ねられた推敲の跡から初稿(1次稿)、2次稿、3次稿、最終稿(4次稿)と分類されています。

推敲毎に内容は大きく変わっていて、例えば、3次稿まで居たブルカニロ博士が最終稿になると居なくなり、代わりにカンパネルラのお父さんが出てきます。最終稿もまた、推敲の途中だったため未完成なのです。書籍で出版されている「銀河鉄道の夜」はどの推敲段階を抜粋するかで微妙に内容が変わっていて、この物語の話をする時に人によって少しづつ記憶に違いがあるのはそれが理由だったりするのです。

そして、SL銀河の旅客車側面に描かれた星座や動物、植物のうち、イルカは2次稿までの存在、射手座(射手)は初稿で消えています。

それでは車体から一つづつ見てみましょう。物語の流れは4号車から1号車に向かっているので4号車から紹介します。

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4号車

白鳥座

ーもうじき白鳥の停車場だから。ぼく、白鳥を見るなら、ほんとうにすきだ。ー

楢の木

ー街燈はみなまっ青なもみや(なら)の枝で包まれ、電気会社の前の六本のプラタヌスの木などは、中に沢山(たくさん)の豆電燈がついて、ほんとうにそこらは人魚の都のように見えるのでした。ー

ラッコ

ー「ジョバンニ、らっこの上着が来るよ。」さっきのザネリがまた叫びました。ー

もみの木

ー街燈はみなまっ青なもみや楢(なら)の枝で包まれ、電気会社の前の六本のプラタヌスの木などは、中に沢山(たくさん)の豆電燈がついて、ほんとうにそこらは人魚の都のように見えるのでしたー

ふくろう

ー時計屋の店には明るくネオン燈がついて、一秒ごとに石でこさえたふくろうの赤い眼(め)が、くるっくるっとうごいたり、いろいろな宝石が海のような色をした厚い硝子(ガラス)の盤ばんに載(の)って星のようにゆっくり循(めぐ)ったり、また向う側から、銅の人馬がゆっくりこっちへまわって来たりするのでした。ー

リス

ーただたくさんのくるみの木が葉をさんさんと光らしてその霧の中に立ち黄金(きん)の円光をもった電気栗鼠(りす)が可愛(かあい)い顔をその中からちらちらのぞいているだけでした。ー

ーしかし(がん)の方が、もっと売れます。の方がずっと柄(がら)がいいし、第一手数がありませんからな。ー

3号車

河原ナデシコ

ーうすあかい河原(かわら)なでしこの花があちこち咲いていました。ー

リンドウ

ー線路のへりになったみじかい芝草しばくさの中に、月長石ででも刻きざまれたような、すばらしい紫のりんどうの花が咲いていましたー

わたり鳥

ー「いまこそわたれわたり鳥、いまこそわたれわたり鳥。」ー

孔雀

ージョバンニはその小さく小さくなっていまはもう一つの緑いろの貝ぼたんのように見える森の上にさっさっと青じろく時々光ってその孔雀がはねをひろげたりとじたりする光の反射を見ましたー

くるみ

ーカムパネルラが、不思議そうに立ちどまって、岩から黒い細長いさきの尖とがったくるみの実のようなものをひろいました。ー

わし座

ー「もうじき(わし)の停車場だよ。」ー

2号車

からすうり

ー今夜はみんなで烏瓜(からすうり)のあかりを川へながしに行くんだって。ー

甲虫(カブトムシ)

ーその一つのあかりに黒い甲虫(かぶとむし)がとまってその影が大きく天井にうつっていたのです。ー

ツリガネソウ

つりがねそうか野ぎくかの花が、そこらいちめんに、夢(ゆめ)の中からでも薫(かお)りだしたというように咲き、鳥が一疋(ぴき)、丘の上を鳴き続けながら通って行きました。ー

りんご

ー向うの席の燈台看守がいつか黄金(きん)と紅でうつくしくいろどられた大きな苹果を落さないように両手で膝ひざの上にかかえていました。ー

イルカ

ー「いるかは海に居るときまってゐない。」あの不思議な低い声がまたどこからかしました。ー

とうもろこし畑

ー美しいそらの野原の地平線のはてまでその大きなとうもろこしの木がほとんどいちめんに植えられてさやさや風にゆらぎその立派なちぢれた葉のさきからはまるでひるの間にいっぱい日光を吸った金剛石(こんごうせき)のように露(つゆ)がいっぱいについて赤や緑やきらきら燃えて光っているのでした。ー

射手座

ー「わたり鳥へ信号してるんです。きっと射手のとこからのろしがあがるためでせう。」ー

1号車

野茨

ー「ほんとうに苹果の匂だよ。それから野茨(のいばら)の匂もする。」ー

かささぎ

ー「からすでない。みんなかささぎだ。」ー

鷺(さぎ)

ー「はおいしいんですか。」ー

すすき

ー外はいちめんのうつくしい砂子と白いすすきの波ばかり、あの鳥捕りの広いせなかも尖(とが)った帽子も見えませんでした。ー

蝎(さそり)

ー「あれは何の火だろう。あんな赤く光る火は何を燃やせばできるんだろう。」ジョバンニが云(い)いました。「の火だな。」カムパネルラが又(また)地図と首っ引きして答えました。ー

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