
2024年から再訪していた宮沢賢治さんの東京の足跡も、ラストの「大島」を残すのみとなりました。
冊子『ナギノート3』にも掲載しましたが、こちらではより詳細なレポートを掲載します。
熱海駅

2025年4月22日、若者で賑わう熱海駅前。足湯も魅力的ですが、今日は船に乗ってさらに移動します!

タクシーで10分、熱海港へ。どうやら我々が乗るらしいジェット船が見えています。
熱海港

乗船券はネットで予約したのですが、紙券を発行しなければならないそう。並びます。

往復分のチケットをゲットしました!指定席です。日帰りで熱海から大島への船は、9時に行って15時に戻るという1便しか選択肢がないので要注意です!

それでは乗船!手にはご当地限定のハッピーターンを持っていますが…宮島ですら船酔いしたので非常に不安です。45分、大丈夫でしょうか!?

船内、2階建てで想像より座席も多く、なんだか飛行機みたい。

最初数分、どんぶらどんぶら揺れていたのですが、急にキュイーンという高音がして飛行機みたいな動きに!水面を飛んでいる感じです♪

45分で揺れもなく、あっという間に大島に着きました。船酔いが不安で薬を飲んでましたが、これは要らなかったかも。

観光案内センターで目的地の確認と距離、移動手段を相談…

宮沢賢治さんが訪ねた、友人伊藤七雄宅跡の場所を確認しました。ここから4km、歩いて1時間。今日の相棒もちゃこちゃんは肩を痛めて自転車に乗れない…どうする!?

タクシーを2時間貸し切りました!以前に遠野でも貸し切りタクシーをやったことがあるのですが、熱心な運転手さんだとチーム感が出て、思わぬ収穫があったりするのです。

ツツジが壁のように咲き乱れる道を進みます。椿も大島桜も終わりましたが、ツツジが綺麗です。この後は紫陽花の季節になるそうで、大島は花の島ですね。

ここで、タクシーの運転手 山口さんにご協力いただいて聞き込み。

亡くなった同級生の著書に、大島に来た作家について書いた記述があったそう。


本日は、地元の方を巻き込んで、チーム「ナギノート」です。
ついに!賢治、思い出の家へ

港からずっと道を木々に囲まれていて、鳥の声が聞こえています。この道の右側が伊藤七雄の「大島農芸学校」跡地、左側が賢治さんが伊藤兄妹とかけがえのない2泊3日を過ごした本宅跡に続きます。

今回、大島行きにあたっては、一連の東京の足跡をめぐるベースとしてきた奥田氏の「宮沢賢治の東京における足跡」の他、浜垣氏のサイト「宮沢賢治の詩の世界」の大島旅行のレポートを参考にしています。船が怖くて10年以上躊躇していましたが、ようやく来れました。

伊藤宅跡の「野地655番地」。1931年に伊藤七雄が亡くなり、農芸学校は閉校、妹チヱも大島を離れて東京へ去り、今は縁者ではない方が住まわれています。お話を伺うと、家屋は別の場所から移築してきた物で、残念ながら当時の物でもないそうです。対応していただきありがとうございます。

「かういふ土ははだしがちゃうどいゝのです」の畑が見れたらいいなぁと思っておりましたが、公道からはネットが張られていて、見ることができません。キョンよけだそうです。動物園から逃げ出して繁殖してしまったそうです。
当時の面影は残っていませんでしたが、大自然に囲まれてなんとなく日常から解放されて心が浮き立つ感じがあって、とても楽しいです。
こんな気持ちで素敵な女性と一緒に過ごしたら、賢治さん浮かれちゃうよねぇ…と、感じることができました。
残り時間で大島観光

さて、タクシー貸切時間がまだあるので、山口さんのおすすめの場所をお願いしました。三原山です。

三原山は古くから噴火が度々繰り返されており、噴火を御神火(ごじんか)と呼び敬っていました。1986(昭和61)年の噴火も、最初は御神火の火の柱と思っていたところ、さらに大きな溶岩流が発生し、元町に迫ったことから全島民が避難する事態になりました。解説は当時はバスの運転手だった山口さん。

反対側は、晴れていれば富士山が見えるのだそうです。

三原山から見る元町港。

右手には空港の滑走路が見えます。調布飛行場から飛んで来れるそう…「でも、賢治さん船で来たし」「え、それ言うならジェット船じゃなくて、もっと時間かけて来なきゃじゃないの?」すっかり運転手さんとも打ち解けてきたのですが、もうすぐお別れです。

1986(昭和61)年噴火の時に、元町まで迫った溶岩流の先端部分。

丸い穴は、倒木の上を溶岩流が流れて焼かれて空洞になったものだそうです。
地元名物を食べよう!

お寿司屋さんの前で山口さんと別れました。ご案内ありがとうございました。大島で「寿司」と言えば、「地元の魚の握り」と郷土料理「べっこう」が存在します。その両方を提供しているのが「寿し光」とのこと。

地元の方にとって家庭料理だという「べっこう」も食べたい、地魚も食べたい、アシタバの天ぷら食べたい!に応えてくれるこちらのお店は、最初の観光案内所の斜め向かいでした。べっこう美味しい!唐辛子が効いた醤油味です。
太平洋を見ながら露天風呂!

元町港から徒歩4分、「元町 浜の湯」という海が見える露天風呂があるのだそう。行ってみましょう!

更衣室は男女別ですが、混浴のため水着着用です。水着は無料レンタル、タオルは200円、入湯料は300円です。

おぉぉ…パノラマに広がる海。天気が良いと富士山も見えるそうですが、今はギリギリ伊豆半島が見えています。日没も綺麗に見えるそうですが…日没まで居たら帰れなくなりますね。
船の時間まで島食材カフェでまったり

湯上がり、ゆっくりコーヒーでも飲みたくなったので、元町港に戻ってきました。こちらの待合所と同じ建物内「海のパン屋さん」、美味しくてびっくり!材料が地元食材とのこと。

パンは、帰りの船の時間に合わせて戻ってきたバスツアーのお客さんが次々買っていって、あっという間に売り切れに!早めに戻ってきて良かった〜。明日は悪天候で欠航という情報を耳にしつつ、時間までゆっくり過ごします。

乗船の時間になりました。熱海までは45分。16時半前に着くことができます。日帰りで大島を満喫することができました♪
これにて完成!
「賢治の東京における足跡」2024、これにて完結です。
このタイミングで、イベントにお声がかかり、トークショーをすることになりました。
そこで、「賢治の東京における足跡」2024についても1冊にまとめることにしました。

発行は6/1、アトリエローゼンホルツのイベントでお披露目したいと思います。
その後の販売については、追ってお知らせします。