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3.11 14:46 東日本大震災から12年、SL銀河 「鎮魂の汽笛」とともに

SL銀河

3月11日14時46分、東日本大震災発生時刻に合わせてSL銀河が1分間の鎮魂の汽笛を鳴らしました。

釜石防災無線から鳴り響くサイレンと共にSL銀河の鎮魂の汽笛!

釜石の山奥で静かに祈ることができました。追悼の汽笛は、普段は思わないようにしている思い出にひと時向き合い、同じ思いの人たちとの共通の時間を感じる静けさをくれました。ここでは私は一人ではありませんでした。

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SL銀河、ラストシーズン最初の釜石行き

2023年で運行終了予定のSL銀河。ラストシーズンの運行に向けて試運転中ですが、3月11日は今シーズン初の釜石駅までの試運転となりました。

復興のシンボル「SL銀河」

SL銀河は東日本大震災からの復活のシンボルとして岩手の地元の人の思いに寄り添って走り続けてきた列車です。

東日本大震災は、 2011年3月11日14時46分頃に発生しました。

翌年の平成24年5月30日警察庁発表で死者1万5,859人、行方不明者3,021人。

数字だけでも被害の大きさが伝わりますが、数字に表れない現実があります。この日に失われた命・生活・つながり…信じてた世界が壊されてしまった中で「がんばろう」とした日々が、数年後にインフラが元に戻っても虚しさがつきまとう結果に心が壊れてしまう…希望を見たい中で、どうにもできない事実が存在します。

その空虚さを敢えて言葉にするなら「被災ムード」でしょうか。その、「被災ムード」を打破するため『SLを復活させるぞ!』とプロジェクトを立ち上げたのがJRです。

生活インフラであり、平和の象徴だった鉄道もまた被災し、被災した車両はそれを日々安全に運用する使命を負っていた人自身の手で廃棄せざるを得ない事態でした。失う一方の中で、盛岡市の県営運動公園の片隅で役目を終えて眠っていた蒸気機関車C58239に再び命を吹き込み、再び走らせる計画は「わくわく」をもたらしました。

東北が動くSLを保有する!この車両は、眠っている間ずっとずっと見守ってお世話をしてきた人がいる車両で、もう走ることが無くても地元の人たちの手で大切にされてきたのです。再び走ることになるとは誰も考えていなかったのですから、これこそ『奇跡』の始まりだったのです。

復興支援の象徴であるとともに、観光支援として「SL銀河」と名付けて2014年4月に復活運行を開始しました。

<引用:KYODO NEWS>

二度と動くことが無いと当たり前に思われていた蒸気機関車が再び走り出した『奇跡』!

蒸気機関車C58239が牽引する客車は、外観に岩手県の童話作家・宮沢賢治氏の作品『銀河鉄道の夜』をモチーフにデザインされています。

深夜の夜闇から明け方に向かうブルーのグラデーションをベースに、作品に登場する星座のモチーフが象徴的に並んでいます。『銀河鉄道の夜』は大切な人と魂が天上に導かれる列車に乗り、命の物語と出会いながらかけがえのない時間を過ごします。

そして、終点での別れの痛みの後、「生の世界」現実に戻る主人公には大切な感触が残る物語です。

この物語を背負い、岩手のど真ん中と「あの日」をまっすぐに貫くのが「SL銀河」です。ラストシーズン、「SL銀河」が存在する意味を。どうか。